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ほいくえVoice

(特別号)【経営者Voice. 9】保育はみんなが通ってきた道

更新日:2023.4.17|6(2週間) / 320(累計)

和久津亮さん
30代 福祉法人向け支援事業 経営者
 
―和久津亮さん(以下和久津さん)は福祉業界で、起業や経営に関する研修プログラムを開発・提供されています。お父さまが保育園と児童発達支援施設を運営されているともお伺いしました。
 
父は30年以上保育に携わっています。自分が生まれたときから保育園がありましたね。
 
―起業を経て、現在はお父さまと近いところでお仕事をされていらっしゃいますよね。その前はどんなことをされていたのでしょう?
 
大学卒業後、都市銀行に入行しました。社内で起業支援する制度があり、昨年採択されて、保育や介護といった福祉業界に携わるようになりました。
 
―ちなみに和久津さんが金融業界で働こうと思ったのは、どんな理由からだったのでしょう?
 
自分はサッカー選手を目指していて、その夢は敗れてしまい…やりたいことって特段なかったのです。さまざまな業界や会社と関われるところがいいかも、と思い金融業界を目指しました。その中でも面接官が一番かっこよかった会社を第一志望に、就職したんですよね。
 
―面接官が一番かっこよかった、ポイントをお伺いしたいです。
 
面接官って「会社の顔」だと思うのですが、立ち振る舞い、応対の姿勢、すごく素敵でした。学生だった自分の話もよく聴いてくれて、会社のこともしっかり伝えようとしてくれる社会人だな、と。その誠実さに惹かれました。
 
―都市銀行での勤務と聞くと、異動や転勤が多そうです。
 
数年おきに異動、職場が全国にあるので時に引っ越しも伴います。上司も数年おきに変わるので、職場の関係作りをまたゼロからという苦労もありますよ。
 
―保育園でも「園長が変わると、様子がガラリと変わる」という話を聞くので共通することもありそうです。
 
人が変わっても変わらないルールがあるか、というところが大事ですよね。しかもそれは上司や園長といった「上の人」が決めたものではなく、関係者皆の総意である必要があります。これがあるかないかで、仕事のしやすさ、人間関係の築きやすさが大きく変わります。銀行はその辺り結構堅いのですが、保育園で財務のお手伝いをしていると、その辺のルールが全くない現場もありますね。
 
―和久津さんが起業しようと思ったのは、どんなことがきっかけなのでしょう?
 
地方都市に転勤したときに、年次が上がったこともあり、経営者の方々とお話することが増えたんですね。自分の父親と同年代の方もたくさんいて。経営者のパッションに触れかっこいいなと思うこともありましたし、自分の身の上を話したときに「君のお父さんの会社、どうするの?」と聞かれることもありました。そして多くの経営者の方が、後継者問題に一番頭を悩ませているという現実も知りました。ちょうど同じタイミングで、父の会社も後継者問題に揺れており、そこをヒントに起業を決心した感じですね。
 
―ちなみに起業したい、経営に携わりたい保育士ってどれくらいいる感覚でしょうか?
 
調査したときは、2割ほどの保育者が起業や経営に興味ありと回答しました。自分も独学で学ぼうとしたのですが、何から手をつけたらいいかわからないし、内容も本当に難しい。こういった実体験から研修プログラムを開発しようと思い至りました。
 
―保育業界でお仕事するようになって、驚いたことはありますか?
 
紙が多いですよね(笑)銀行も多いと思っていましたけど、銀行より多いんじゃないでしょうか。あと保育者の皆さんのホスピタリティは本当に尊敬に値します。子ども視点といいますか、他人の幸せを願う精神が強い。保育士の仕事も多岐にわたり、求められることも増えてきて、保育園も選ばれるようになっています。そうなってくると「子どもと向き合う以外のこと」も求められてきますが、他者(子ども)を想えるのは素敵ですよね。
 
―最後に、保育業界がこうなったらいいなという展望をお聞かせください。
 
インクルーシブ社会になるといいと思いますし、それに寄与する働きをしたいと思っています。保育や介護って「みんなが通ってきた道で、みんながこれから通る道」でもあると思っています。福祉を皆が「じぶんごと」として考えることができ、関心や想いがある人たちがつながることができたら、明るい未来が見られるのではないかなと希望を持っています。
 
和久津さん、希望あふれるお話をありがとうございました!異業種を経験されているからこその視点、とても興味深かったです。
 
【和久津亮さん×保育のひとコマ】
左下にいるのが弊社オリジナルキャラクター「フクノネコ」です。
フクノネコと共に、保育の未来を支えるお手伝いのために何でも挑戦していく覚悟です!(和久津亮さん)
 
和久津亮さんのTwitterはこちら
 
(2023.2 聞き手・編集:鏡味)
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