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(特別号)【経営者Voice vol. 10】伝えられることが、武器になる

更新日:2023.5.8|5(2週間) / 132(累計)

長堀亮太さん
30代 認可外保育施設 経営者
 
―長堀亮太さん(以下長堀さん)は東京都内で24時間開所の保育所を運営されています。保育に携わることになったきっかけから、教えてください。
 
自分は大学まで野球を続けてきたのですが、学生時代さまざまな先生や指導者との出会いがありました。「関わる人によって人生は良くも悪くも左右される」という想いが当時から強かったのでしょう。そういった想いから、子どもたちの選択肢を広げられるような大人になりたいと思い、大学で保育を学ぶことに決めました。
 
―大学卒業後は放課後等デイサービスに勤務されたと伺いました。
 
生まれも育ちも埼玉なのですが、「このまま関東にいても面白くないから、就職してどこかに行っちゃおうか」と思っていたのです。「子どもに関われる仕事」で、勤務地は「今まで行ったことのない地方」で探していたら、すごく面白い法人名のところを見つけたのです。その法人が運営していたのが、放課後等デイサービスでした。
 
―「どこかに行っちゃおうか」「法人名のインパクト」で就職先を決められた方は初めてお会いしました(笑)保育所を立ち上げたのは6年前になりますよね。
 
新卒で就職した法人の退職を決め、次のステージを模索していた時に理事長と、「東京で保育所をやってみよう」と意気投合したことがきっかけです。24時間開所にしたのは認可外保育施設だからこそできることを追求したい、またさまざまなニーズに応えられる保育所でありたいと考えたからです。
 
―「〇〇しようか」の勢いをここでも感じますね。長堀さんの保育所では、0歳から5歳まで合同保育を行っているとお伺いしました。
 
0歳から5歳までの合同保育って見たことないですよね。大丈夫なのかな?保育はちゃんとできているのかな?と心配に思う気持ちも分かります。ただやっていて強く感じていることとしては、年齢関わらず、とてもいい作用があるということです。
 
―たしかにどんな感じなんだろう、家族やきょうだいのような感じなのかな、と想像しながら気になっています。
 
小さなお子さんが大きなお子さんを見て、さまざまなことを凄まじい勢いで吸収していくのを感じます。大きなお子さんは自分より小さな存在がいると、まるくなったり優しくなったりします。家では「王様状態で、全く手に負えないんです〜」とお預かりしたお子さんも、保育所で過ごすうちに粗さがなくなり、優しいお兄さんに変身することも。とはいえ、実際の現場はなかなかハチャメチャで驚かれるかもしれません。是非一度見に来てください!!
 
はい、近々見学に伺いますね!長堀さんは現場で保育に入ることもあると伺いました。子どもと接するときに心がけていることはありますか?
 
園の理念でもある「み~んな楽しい」が実践できているか常にアンテナを張ること、もう1つは「決めつけない」ことですね。自分の中で解釈が進んでしまうこともありますが、そこはグッと堪えてその子の言葉を聞きたいです。
 
―例えば「それはダメでしょう!」と喉元まで出そうになっても、まずは気持ちを聞いてみるような感じでしょうか?
 
そうですね。例えばトイレットペーパーをトイレに突っ込んでいたお子さんがいて、見つけ次第「ダメでしょう!」と言うのは簡単なんですけど…。その子が何を思ってその行動を起こしたのは、聞いてみないと胸の内はわからないですよね。もしかしたら実験しようとして、好奇心から夢中になっていたのかもしれないですし。そういった想いを素直に伝えられる子になってほしい、とも思っています。例が少し極端ではありますが、誰にも迷惑をかけていなければ、変わったことや普段できないことは進められていくべきだと思っています。その1つ1つの経験が子どもたちの選択肢を増やし、なにより「み~んな楽しい」につながると思っています。
 
―想いを伝えられることって、子どもでも大人でも大事なことですよね。
 
自分の想いを伝えられることは確実に武器になります。あとは伝えられることで勘違いされない、というのも大事なことだと思っています。
 
―たしかに、仰るとおりですね。最後に保育士の方に向けて一言お願いします。
 
自分は経営側であり保育士でもありますが、保育にまつわるニーズに応えていくことは大変だと感じています。これまで出会ってきた職員の方の優しさ、ホスピタリティは本当に素敵だと思っていて、保育者の持ち味の一つだと思っています。ただ優しさや慈善の精神が強くなりすぎてしまうと、苦しいと感じる人も出てくるのではないか?の危惧も。自分自身の楽しさはそのまま子どもたちにも伝わるので、その辺りのバランスは大事にしていきましょうとお伝えしたいです。
 
【長堀亮太さん×保育のひとコマ】
毎月お弁当をもってみんなでピクニックに出かけています。公園内の生物園でのひとコマ。たくさん歩いて、たくさん遊んで、たくさん学んでいます。(長堀亮太さん)
 
(2023.3 聞き手・編集:鏡味)
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