はなうたさん
30代 保育士歴10年目
小規模認可保育園 園長
はなうたさんのインタビュー前編はこちら。
―今年度から園長に就任されたと伺いました!現場保育士からの大抜擢だったのですね。
お話をいただいた時はとても驚きましたが、よりよい保育、より働きやすい職場を考えられるのならばやってみようと思いました。現場には素敵な先生がたくさんいる、けれども、一斉保育が抜けていなかったり、「保育の質」といった面では自信を持ってアピールできる保育園ではなかったです。さまざまな課題感も抱いていました。この一年はいろいろなことをガラリと変えて、現場一丸となって奮闘しました。
―例えばどんなことを変えてきたのでしょう?
「流れるような生活を提供しましょう」「子どものペースを大事にしましょう」を目標に掲げて、一斉保育からの脱却を図っています。壁ぺったん、朝の会、帰りの会はやめました。「おかたづけのうた」を歌って片付けを促すこともやめ、まず大人から片付けをするようにもしましたね。おやつもバイキング形式を導入しています。
―すごい!変化の年でしたね。新しいことを導入する、以前のやり方をやめようとすると、抵抗などなかったですか?
二つのことを意識して進めています。一つは「ちょっとやってみよう」から始めて、話し合う前にやってみること。最初に話し合いの場を作ってしまうと、反対意見や「こういう時はどうする?」の意見がどんどん出てきて、全ては解決しないので前に進みにくいです。もう一つは「子どもの主体性を育む保育を一緒に、考えてほしい」と職員に向けて、全面的に伝え続けることです。私を含め正解を持っているわけではないので、一緒にやってみてもらえませんか?の気持ちを持って、職員に協力してもらうこと、巻き込むことを意識しています。
―とっても素晴らしい心がけ、細やかな気配りだと思いました。職員の皆さんの意識が変わったなと思う場面はありましたか?
ぐっと意識が変わったと感じたのは、保育士による虐待事件が相次いで報道されたタイミングですね。同業者として「自分たちの保育は大丈夫だろうか」「もっといい保育を目指したい」「保育は何が正解かわからない」といった想いや危機感が強まっているのを感じました。新しいことを試したり、変化に寛容になったりという姿勢は、そういった事件の影響もあったと思います。
―考えるきっかけって大事ですよね。はなうたさんが保育をするときに心がけていることってあるのでしょうか?
前編でもお話しましたが、これまで経験してきた保育現場は労働環境として良くなく、そこにいる子どものことを第一に考えられなかったなぁと思っているんです。子どもを守り保育を維持するためには大声も出さざるを得なかったですし、禁止言葉もよく使っていました。その時保育していた子どもには悪いことをしてしまったと思っています。
お恥ずかしい話ですが、子どものことをよく見られる、保育をちゃんと悩めるようになってきたのはいまの職場に来てからです。子どもに矢印を向けつつ、より良い保育を模索したいです。
―さまざまなことにチャレンジしている一年めかと思いますが、今後考えていきたいことはありますか?
子ども主体の保育というのは引き続き追求したいですが、「保護者支援」も注力したいです。保育園が増えてきて、余ってくるとなると、小規模な保育園は真っ先に淘汰されるのではないか?と危機感を抱いています。
例えばですが、いまは「保護者のお仕事がお休みのときは、お子さまを預からない」というルールになっています。就職したときは「保育者になんて優しい職場なんだろう」と好印象でしたが、園長になると保護者から「厳しいですよね〜」と直接指摘が入ったりするんですね。コロナの影響で保育の中がお見せしにくくもなっているので、そこを改善しつつ、保育者・子ども・保護者の三者を大事にできる、偏りすぎないバランスも考えていきたいですね。
はなうたさん、後編もありがとうございました!新しいことを考える、やってみる、巻き込むところにパワーを感じました。来年度もどんどんいい保育になりそうですね!
【はなうたさん×保育のひとコマ】
体質改善のために一年前から漢方を飲み始めました。気になる体やメンタルの不調が解消されたので、漢方は私の大きな味方です。でも、目標は漢方を飲まずとも食事や睡眠で健康に近づくこと!これから勉強していきたいです。(はなうたさん)
はなうたさんのTwitterはこちら。
(2023.3 聞き手・編集:鏡味)