ありーさん
30代 保育歴6年目
認定こども園 3歳児担当
ありーさんの前回のインタビューはこちら
−異業種から保育園で働いてみて「あれ?これは変じゃないか?」と思ったことはありましたか?
もう、いっぱいありましたねー(さらっと)。なんでなんだろうっていう違和感はたくさんあります。「とにかくパソコンが使えない」とか。
−保育者はパソコンが使えない、よく耳にする話ではありますね。
前にいた職場では、新卒で入職した保育士がワードとエクセルが使える程度。他の人は全く使えない状態でした。園長がパソコン推進派で頑張って引っ張ろうとしたのですが、還暦間際の主任が一念発起してパソコン教室に通い出したくらいで…ほとんど効果なしでした。
−園長が引っ張ると現場は動きやすいのかな、という感覚もありますが動かなかったんですね。
いろいろ要因はあったと思います。まず園長が結構強すぎたので、単純に「園長の言うことにはなんだか従いたくない」っていう反発心が蔓延していたとか。あとは自分ごととして捉えられないこともあったと思います。「パソコンが使えるようになって何になるの?自分にとってのメリットが見えない。」とか。
−人の気持ちを動かす、行動を変えるって難しいですよね。
当時は物理的に整っていない部分もありました。まず時間的なもので、パソコンを使って落ち着いて作業する時間が取りづらかったです。あとITだという割に、保育園の中に1台しかないとか。職員全員で1台って、結構ハードル高いですよ。使おうとしたら誰かが使っているかもしれない、いつ使えるかわからない、パソコンに苦手意識がある、となったら「手書きにしよう」「パソコンが使えなくてもいい、なくても仕事できるじゃん」となりますからね。それでも前の職場では各クラスに1台置こう、という流れにはなったんです。
−良い感じですね。それでパソコンの活用は進んだのでしょうか?
いや、それもまた別の壁がありまして。各クラスに1台パソコンを置いたものの、今度はWi-Fiが届かないと!打ち込みはできても印刷はできないとか、不便なことが出てきてしまったんですよね。苦手意識が増すばかりで、結局意味ないじゃん!と。
−当時を振り返って、どうしたら良かったんでしょう?
職場全体、保育者全員を動かすというなら「環境を整えること」が一番大事だと思います。それと慣れないことを始めて、パソコンを使ってみてわからないことがあっても絶対に文句を言わないこと、丁寧に教えられる人を置くことだと思います。フォルダとファイルの違いがわからないとか、電源の場所がわからないとか、そういう人もいると思うんです。
−いくら優秀なシステムでも導入環境が万全でないと、フォローできる存在がいないことには前には進まない、と。
苦手意識があること、慣れないことを乗り越えてコトを進めようと思ったら、それくらいの準備は必要です。
−異業種から保育士になったありーさんは、今後も保育士として働くお考えなのでしょうか?
はい、これからも保育士でいたいと思っています。土台は保育士で、地域貢献にも関わっていけたらと考えています。
−クラウドファンディングで地域の子どもたちに映画上映会を企画したり、子ども食堂に参加したり地域活動に精力的ですよね。なぜ地域貢献なのでしょうか?
子どもが健全に育つためには、地域の支えが必要だと思うんです。子どもが夢や希望を抱いたとしても、身近な大人がエネルギッシュに輝いていないと、地域が活性化していないとその時点で可能性は止まってしまう。地元の商店街の存在も大事です。大きなお金が流れていなくとも、そこに住む人のお金が巡っていることが大前提で私たちの暮らしが成り立っている。そう考えたら、もっともっと地域の力を強くする方法を模索したいと思うようになりました!
【ありーさん×保育のひとコマ】
保育士になってから家でも制作をする事が増えたので、道具を揃えました。1番のお気に入りはハサミ。小さいものや細かいところまで切れるように、先の細いハサミを購入しました。あと、以外と欠かせないのがコンパス。購入するまではいつも丸い物を探して型をとっていました。横着ですね。笑
子どもの健やかな育ちを願う、ありーさんの切なる想いが終始感じられるインタビューでした。「小さな存在が大きいこと」、これは終盤地域貢献の話で出てきたワードですが「子どもたち」にもそのまま当てはまります。小さな存在だけど大きな子どもたち。その姿を見つめながら、いま自分にできることを考えて行動する。身近な大人が輝いていないと、エネルギッシュでないと子どもは夢を持てないと思うんです!と話してくださったありーさん、とても輝いていて私も明るい勇気をもらいました。
この度は貴重なお話をありがとうございました!
(2021.4 聞き手・編集:鏡味)