柔ちゃんさん
1989年生まれ 保育歴9年目
一児の母
柔ちゃんさんのインタビュー前編はこちら
ー前編のお話で、とてもパワフルで前向きな様子がうかがえました!そんな柔ちゃんさんにも、うまくいかず落ち込むことってあるんですか?
いや~、うまくいかなかったことだらけですよ。そう、子ども達のケガは特に落ち込みます。事前にこういう声掛けをしておけば良かったとか、ここをこうすれば良かったかもしれないとか、いつも反省します。
―なかなか防ぎきれないケガもありますよね...
それはそうなんですけど、とはいえ自分の責任です。「ちょっとよく分からないんですけど~」って言うことだけは絶対にないようにしています。保護者にはきちんと状況を説明できるように。その度、人の命を預かっているんだなぁと改めて思います。
―柔ちゃんさんは子ども達とたっぷり関わって遊びたいというお考えで、でも全体は常に見ていなければならないし、その辺り加減が難しいのではないでしょうか。
本当にそこは日々葛藤しています。たっぷり一緒に遊ぶことで子ども達と良い関係を作っていきたいと思っていますが、全体を見るために遊びこめないことも多々あります。
―何か工夫していることはありますか?
みんなで行う集団あそびを取り入れるようにしています。みんな同じことをすれば全体も見やすく、たっぷり関わっても遊べる。そうやってまず遊んでから、自由あそびに移っています。
―なるほど。限られた時間でも一緒に遊びこむことを大事にしたいという柔ちゃんさんの工夫ですね。
そして、全体を見渡す眼は鍛えていくしかないです!
―経験が必要ということですね。保育の中で他にもこれは難しいなと思うことはありますか?
色んなリーダーの先生と組んできて、それぞれ保育観も全く違いました。それぞれに合わせてやっていくのってやっぱり難しいなといつも思っていました。えーい、四の五の言わず何でも頑張ろう!と当時は若さで乗り切っていました。
―リーダー100人いたら保育観も100通りで、それぞれに合わせていくって難しいですよね。そのような経験を積んできて、今何か実を結びだしていることってありますか?
当時は「それどうなの?」と思いながら合わせていたことも多々ありました。でも、今年度初めて自分がクラスを引っ張っていく立場になり、今となると「そうか、あれはこういう目的でやっていたんだ」と気づくことがあります。
―おぉ!例えば?
リズム運動遊びっていうピアノに合わせ体を動かす遊びがあるのですが、小さいクラスのうちからそりゃあもうバンバン厳しくやっていくA先生がいたんです。いや~そこまで厳しくやらんでええんちゃう?と正直思っていました。でも数年後いざ全然やっていない子と比べると、運動能力に違いがあるんですよね。転びにくいとか身のこなしが軽やかとか。あぁ、A先生、やり方にはひとクセあったけど、伝えたい事ってそういう事だったんだなと分かった気がします。
―なるほど、習ってきたことが自分のものとして落とし込めた瞬間ですね。そういった気づき、他にもありますか?
B先生は、あまり子どもの遊びに入ろうとせずどちらかというと少し離れて見ている人でした。私はどんどん加わって一緒に遊びたいタイプだったので、なんで一緒に遊ばんのやー!と思うこともあったんです。それが、ついこの間クラスの子ども達(4歳児)が山を作っていて、いざ参戦しよう!と意気込んだ時のこと、ふとB先生のことを思い出しました。そして、ちょっと待て、少し見守ってみようと思ったんです。
―降りてきたんですね!すると?
するとまぁ、子ども達だけでみるみる素敵な山を作っていって。すごくあそびが広がり、子ども達も友達同士でできたと喜んでいました。あぁ、これが見守る大切さなんだなと感じました。介入するか見守るか、状況により臨機応変ですが、ここは見守るところだったんだなと実感です。そして、B先生が伝えたかった事ってこういう事かと分かりました。
―なるほど...当時は、この先生何か違うな、ちょっとしんどいなと思うこともあったのかもしれません。でも今となればすべて経験であり学びの場だったんだなと思えるのですね。すばらしいの一言です!
とにかく楽しく、子ども達とたっぷり遊びたい、というエネルギッシュな柔ちゃんさん。子どもってそういう先生が大好きですよね。大喜びで周りに集まってくる様子が目に浮かびます。いつも明るく全力投球だからこそ、人知れず落ち込んだり、クタクタになったりする日もあることでしょう。それでもしっかりリセットし、また元気に子ども達に会いに行く。そして1日を楽しむ。素敵ですね...! 柔ちゃんさん、貴重なお話をありがとうございました。最後に、「今年度は初の自分がリーダーのクラスを頑張っています。半年後パワーアップしているであろう私をまたインタビューしてね」との嬉しいお言葉を頂きました。ぜひ!! 更なる進化を遂げた柔ちゃんさんに会うのが今から楽しみでなりません。
(2021.4 聞き手・編集 : 土屋)