kyonさん
20代 保育士歴8年目
公立保育園 勤務
インタビュー前編はこちら。
―前編では、kyonさんが中心となり勉強した「寄り添う」保育について伺いました。新人の時から学びに意欲的だったのですか?
保育士として働き始めた時、職場の空気の悪さに理想と現実のギャップを強く感じました。どうしてこんな所に入ってしまったのだろうとさえ思ったほどです。そこで大学の恩師に連絡したところ、熱い想いをもって保育している人もたくさんいるよと聞き、講演会などの集まりに誘ってもらい出かけることが増えました。そこで色々な考えの先生方と出会い感じたのは、保育園ってなんて小さな世界なんだろうという事です。その小さな世界での常識によって自分の視野がどんどん狭まっていく。もっと外の世界を知り、いろいろなことを勉強したうえで、自分の保育園に帰ると、これまで疑問でしかなかったとある先生の考え方も、不思議とこういう捉え方もあるのだなと思えるようになりました。そして、「先輩、教えてください」と請えるようになったのです。教えてと言われると先輩方も快く教えてくれます。そして自分の中で、これは参考にしたい、これは真似しないでおこう、などと仕分けられるようになったのも視野を広げたからだと思っています。
―ご自身の視野が広がったことで、何事も学びであると柔軟に取り込めるようになったのですね。
そうですね。学ぶことって本当に大切。でも今のご時世、講演会や勉強会が少なくなっていることに懸念を覚えます。後輩の先生たちがより視野を広げていけるよう自分にできる事を模索しています。保育士はどうしても横のコミュニケーションが希薄だなと思うので、もっと外の世界にもコミュニティ作りをしたいと思っています。職場では、わざわざ休日によくやるなぁという目で見られるのですが、アウトプットからのインプットが大事だと思うのです。自分の考えを発信する場って本当に大事ですよね。職員会議もそうあるべきだと 思っています。意見の強い方がずっと喋っているような時も多くあり、クラスに帰ってから、「あの場で言えなかったけどあれ何だったの」といった話になる。それをその場で言えればいいのに!貴重な会議の場でもっと活発に議論できるようになれば、より子どものためになりますよね。
―発信することの大切さを感じられているのですね。
保育士自身が、子どもとかかわる仕事ってこんなに楽しくて素敵な仕事だよと思え、ゆとりを持ってイキイキと働く。そうなるように尽力したいと思うのです。そのためには、自分が学び発信するだけでは足りない。周りを巻き込む必要があります。まずは、他の人も学ぼうと思えるきっかけ作りをしたいなと。SNSもその一つ。また、ライングループなどを活用し、ちょっとした繋がりを持つのです。勉強したいと思っても日々の仕事に疲れてなかなかできない現状があります。そんな時に繋がりがあれば、それぞれが自分の時間のある時に得た情報を発信し、皆が気軽にその情報に触れて思いを交せるようになればいいなと思うのです。自分の発信に対する反応があれば嬉しいですし、そこから保育という共通項で繋がりを紡いでいきたいですね。
これまでの意欲的な学びや経験から、今目指す保育士像を「子どもを真ん中にした」保育士だとおっしゃるkyonさん。自分のする保育が果たして子どもにとってどうなのか、という視点をつねに持ちたいということです。kyonさんの言葉一つひとつから、子どもが主役、子どもは本当に可愛くて、可能性に溢れている。自分はワクワクしながら援助していくサポーターだ、という想いが伝わってきます。近頃、別件で「子ども主体の保育をするには」と改めて考えていた筆者ですが、「それは考えなくたって大前提でしょ」という頼もしいメッセージを受け取った気分です。また、自分の学びを自分の中で留めずに広く発信する重要性を強く感じておられるkyonさん。保育士、保育園という狭い世界に留まらず、「保育界」を良くしていきたい、という視野の広さ、スケールの大きさをどこか感じた心強いインタビューでした。この度は貴重なお話をありがとうございました!
〈kyonさん×保育の一場面〉
お店屋さんごっこをした時の様子です。見るだけでもワクワクするような、リアルに仕上がった果物や野菜がズラリ。子どもたちの楽しむ姿が目に浮かびます!
kyonさんのInstagramはこちら。
(2021.07 聞き手・編集:土屋)