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ほいくえVoice

【vol.21前編】きっかけを逃さない

更新日:2021.11.29|3(2週間) / 350(累計)

ハピハピ先生
30代 保育歴4年目
認可保育園 副園長
 
−まず初めに、ハピハピ先生が保育士になったきっかけをお聞かせください!
 
ずっと幼稚園教諭として働いていました。結婚したら辞めるという暗黙の了解があり、退職したものの子どもが産まれてから「やっぱり働きたい」となって。子どもの預け先を探したのですが、預けたい保育園がない、信頼できる保育者になかなか出会えない。第一子ということもあり、保育中にこの子に何かあったらどうしようとか、安心できる保育園がないように見えてしまったのでしょう。「だったら、わが子と一緒に保育園に通いたい」と一念発起して、保育士資格を取得しました。
 
−すごい行動力…!それでお子さまと一緒に保育園に入職、入園された、と。
 
ある保育園に私はパート保育士として、わが子は園児として一緒に入りました。でもそこがまぁ酷い、ありえないことだらけで。問題の行動をしているのは園長一人だったのですが、外からは全然わからない、保護者も気付けない、周りの職員は誰も止められない状況でした。
例えば2歳児の子どもに食事の無理強いをして、口にどんどん食べ物を詰め込む。上手く飲み込めないと別の部屋に閉じ込める。話し出すのもゆっくりな子どもで、涙を流さずにただ困る、自分がされたことを親に話すこともないですよね。その他にも連絡帳には外遊びしたと書くのですが、実際は毎日園内あそび。怪我をさせてはいけないという理由で、外に全く出ていませんでした。園長が食事介助に入らないよう自分が率先して間に入ったり、「外遊び行ってきまーす!」と強行突破で、すっとぼけたフリをして園児や職員をなるべく外に連れ出す。戦いの日々でした。そういった合間に職員と個別にコミュニケーションをとって、保育園について探りを入れて。私は入職しておかしさに気付いてすぐ辞めたのですが、自分が辞めるだけでは周りは救えないので、いろいろ動きました。
役所にも内部告発をしたのですが、軽い注意のみで大した対処もなかったです。私は退職して、信頼できる友人に正規の保育士として入職してもらいました。そして多方面で戦ってもらい、保護者も含めて大問題になり、保育園は継続できなくなり、結局閉園になりました。保育園が数ばかりできたから、「質が悪い」保育園も出てきてしまったんだなと思いますよね。
 
−保育士一年目から大変な修羅場を経験されたのですね。ハピハピ先生の強いリーダーシップを感じるエピソードでもありました。今の職場では、副園長を務められているのですよね。
 
おかげさまで、素晴らしい職員に恵まれて保育をしています。正規職員もパートも、経験年数や資格有無も関係なく、子どもに対する想いがあって、寄り添う姿勢があり、日々素敵な発見をしてくれます。でも皆保育観がどこか違って、なんとなくズレていくことも…。この保育園の理念を掘り下げて考えたい、職員一人ひとりがもっと活躍してほしいという想いがあり、今さらながら最近は保育指針をものすごく読んでいます。
 
−「保育指針」の大枠を掴んで、自園の現場におろしていく感じでしょうか?
 
保育指針、今までは面白いと思ったことがなかったんです。保育指針の内容がなくても、自分たちの想いだけで保育はできるとも、どこかで思っていました。でもそもそもの保育所の役割や、改定された箇所など、ふと気になって解説本を買いました。
読み進めているうちに自園の理念ってなんだろう?とか、この言葉の意味をどれだけ実践できているだろう?とか、自分の職場や仕事を意識して読むと、ものすごく勉強になります。「家庭的な雰囲気」「整えられた環境」「主体性」「寄り添う」…保育園でよく聞くあるある言葉の意味を改めて考えてみたり、具体的な業務として何ができているだろうと考えたり。なかでも「主体性を大切にする」は概念的な言葉の最たるものだと思っていて、どこからどこまで?とか、配置はどうしているの?とか、子どもの生活リズムは?課題は??とか、現場目線でいろいろ気になりますよね。
 
−学ぶ姿勢も、現場目線で考えを深める姿も素晴らしいですね。最初に入職、戦った保育園と今勤務されている保育園では、全く違う環境なんでしょうね。
 
特に保育学生の方に強く伝えたいことは「そこの保育園が全てじゃない」ということ。妹も保育士でいろいろ話を聞くのですが、実習で嫌な気持ちになってしまう学生が多いことが気になります。そういう気持ちにしてしまう施設も考えなければなりませんが、保育学生の方にはそこだけで判断してほしくない、いろんな保育施設を見てほしいです。本当に全然違いますから。一度保育士になりたいと思ったならば、その気持ちを大切にして、いろんな人と繋がって、保育の話をすると世界がどんどん広がると思います。
 
ハピハピ先生が言うと説得力が伝わります。きっかけを逃さない、小さなきっかけを大きな学びに変えられるところが、ハピハピ先生の持ち味かと感じました!
 
【ハピハピ先生×保育のひとコマ】
あそびの天才!私、かくれんぼが大好きで。笑
運動能力なんて関係ないし体一つで年齢、性別関係なく遊べて!隠れている時のドキドキわくわくもたまらない︎☆あっ!と目が合った時の表情がキュン♡(ハピハピ先生)
 
後編ではハピハピ先生が現場で学ばれたことを引き続き、お伺いしていきます。どうぞお楽しみにしていてください。
 
ハピハピ先生のTwitterはこちら
 
(2021.9聞き手・編集:鏡味)
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