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【感と勘、初期の芽生え】
その上で初めて三つ目の「観」としてビジョンや大局観が体得されるというプロセスが踏まれるのです。
これら三つのカンを考えてみると、とりわけ最初の「感」と「勘」はいずれも幼児期に置いて初期の芽生えを促すことが重要であると言えます。
入園間もない子ども達にとって、毎日の園生活が「感」そのもの、家庭とは異なる様々な私益を受け、それによって「感」のスイッチを全開にします。
年長ともなれば、園生活で積み上げてきた「感」の蓄積が、一定のコードとなって身体の型として定着していきます。
これが「勘」の原型です。
具体的には、指示や説明がなくても作業や運動に集中できる、先生が前に立つだけで姿勢が正される、みんなで一斉に動くことができる。
内面化された身体感覚と言えばよいでしょうか。
状況に対し、無意識のうちに身体の構えが整うのです。
「感」も「勘」も勉強したから身につくものではありません。
確率論によって定着するものでもありません。
そこには、まず子どもが「感」を楽しく受け入れる環境、生活のリズムや繰り返しがあって、さらに多くの仲間との交流や協働の喜びがなくてはならないと思います。
「勘がよい」「直感に優れている」と言われる人ほど、そんな豊かな幼児期を過ごしてきたのではないでしょうか。
そこにはテレビやスマホなど数値化された「感」によって支配されつつある現代の子どもの環境への、根本的な問い返しがあるのかもしれませんね。
幼稚園教育とは、人間性の基礎基本を育む教育です。
では、人間性の基礎基本とは何か。
AI時代において、私たちが見失いつつあるその原型を思い起こし、新たに蘇生していくことが園の役割なのかもしれません。
「保育士不足」と差す言葉が「保育士」指導者を「傲慢化」している事実さえあります。
子どもがいて先生がある。
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