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【言葉と言う愛情を注ぐ】
専門家は「基礎となる語彙の数が不足している」と警鐘を鳴らしていますが、日本語のボキャブラリーが少なく、教科書の文章も理解できない子どもが多数いるレベルは確かに危機的でしょう。
その根底的な要因は、幼児期から発生しているといいます。
ある統計では、小1レベルでの語彙数格差は、小6段階で4.6倍ものギャップになるといわれています。
語彙の豊かな子どもは相対的に読書量が多く、テレビの視聴時間も少ないです。
幼少期の語彙力は、子どもの学力だけでなく、知力や生活力にも大きく影響してくるのです。
では、幼少期への語彙力のために何をすればよいのでしょうか。
受験生が英単語を一語ずる暗記するようなやり方ではなく、音読・素読によって名文ごとに声に出して、身体に馴染ませること以外近道はありません。
日本の教育学者・斎藤孝氏は、著書「語彙力こそが教養である」の中でこう述べています。
「意味より先に音と言葉に身体を慣らすという、文字どおり「習うより慣れろ」の素読こそ、実は語彙習得のいちばんの近道…本来語彙を身につけるには、そのことばが含まれる文章ごと文脈の中で覚える方がずっとラクなのです」
小林一茶や谷川俊太郎、夏目漱石のテキストが幼児に理解できるかは分かりません。
しかし、意味は分からずとも文章をまるごと覚えてしまった方が、ニュアンスも含め記憶に残りやすいのです。
子どもは耳で、ことばのリズムやテンポ、高低や強弱など、を習得しています。
語彙は暗記とは違うのです。
ラバントの全体授業の中で次々に繰り出されることばの数々も、そういう語彙の源泉です。
俳句やことわざ、詩歌、歌詞などの文脈を声にアウトプットすることで、語彙が子どもの身体に行き交わうのです。
相田みつをさんの「自分の番 いのちのバトン」という詩があります。
子ども達には、
・お父さんとお母さんがいなければ、みんなは生まれてこなかったこと。
・お父さんとお母さんにも、それぞれお父さんとお母さんがいて、そのまたお父さんとお母さんがいること。
・ずっと昔まで辿っていくと、たくさんの人がみんなのために、いのちのバトンを繋いでいるということ。
・みんなが生まれるためには、いのちのバトンが誰か一人でも欠けてしまっていては、ダメだということ。
・いのちのバトンを次に渡すためにも、いのちを大事にして生きていこうね
というお話をしています。
子ども達には少し難しいお話でしたが、先生のお話をじっと聞き、一生懸命理解しようとする姿が見られました。
ラバントは触れて早い言葉はない、と考えています。
いずれその言葉の意味が理解できた時、きっとその言葉によって今の自分が在ることに気付く時が来ることを願って、「言葉」という愛情を子ども達に注いでいます。
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