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「非認知能力」の育成
子どもがより良い人生を歩む上で、これまで重視されてきたIQや学力などの「認知能力」よりも影響力が大きいことが明らかになりつつあるからです。
新年度保護者会でもお話したように、保育園・幼稚園・学校、地域社会で周囲の大人たちがどのように子どもと接するかによって大きな影響を受けると言われています。
そして、非認知能力を育まれる機会を逃した子どもは、大人になった後に仕事や生活面でより多くの機会を失う可能性が高い。
結果として貧困に陥ってしまうと言われています。
子どもの貧困率が日本の4倍近い50%という状況にあるアメリカでは、長年に渡って様々な取り組みがなされてきました。
世界各国で行われた貧困問題への意識調査で、興味深いデータがあります。
「自力で生きていけないようなとても貧しい人たちの面倒をみるのは、国や政府の責任である。この考えについてどう思うか?」
この問いに対し、
「そう思わない」と答えた人は、
中国9%
イギリス8%
ドイツ7%
これらの国々では、ほとんどの人が貧しい人の支援を政府が行うべき、と考えていることが分かります。
しかし日本では、
「そう思わない」と答えた人は
38%でした。
諸外国の5倍近くになります。
アメリカですら28%です。
貧困に冷たい我が国は、貧困は自己責任だと突き放し、結果として、自己責任と持ちようがない子どもたちの間に貧困が広がることを放置してしまっています。
「環境」という言葉を聞くと、たいてい最初に思い浮かべるのは子どものまわりの物理的な環境です。
確かに物理的な環境も、特に文字通り有毒な場合には、(例えば飲み水に鉛が入っていたり、吸い込む空気に一酸化炭素が含まれていたり)子ども達の発達に一定の影響を及ぼします。
しかし、最新の重要な発見によれば、一番問題となる環境要因は、居住する建物でもなく、子ども達が経験する人間関係なのです。
つまり、周りの大人が、特に子ども達がストレスを受けているときにどう対応するかによるのです。
子どもが感情面・精神面・認知面で発達するための、最初にして極めて重要な環境は、家です。
もっとはっきり言えば、家族です。
ごく幼い頃から、子どもは親の反応によって世界を理解しようとしています。
幼児が音を立てる、あるいは何かを見ると、親は子どもの関心を共有し、片言のおしゃべりや泣き声に対してしぐさや表情や言葉で反応すること。
これらは、親と乳幼児の間で当たり前のやりとり、もしくは親にしてみれば無意味な繰り返しに感じられるかもしれませんが、乳幼児にとっては世界のありようを知るための貴重な情報をたっぷり含んでいます。
親のほんの小さな配慮が、非常に深いところから、極めて重要な遺伝情報に関わる部分まで掘り下げるようにして、子どもの発達を助けるのです。
引用:「私たちは子どもに何ができるのか」―ポール・タフ―
園生活でも、似た状況はたくさんあります。
幼児教室と違い、園生活は活動以外の時間に(外遊びの移動中、布団を敷く時間、整列中、身支度をしている時など)他者との信頼関係を築いていきます。
何気ない一言が、園生活の全てをやる気づける内発的動機になります。
いかにこの時期に、意欲ややる気に子ども達自身が出会えるか。
そんな言葉がけができる職員を増やしていきたいと思っています。
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