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隂山英男(隂山ラボ代表) × 齋藤孝(明治大学教授) の対談
隂山英男(隂山ラボ代表)
齋藤孝(明治大学教授)
の対談がラバントで取り入れている日本語と「立腰教育」について取り上げられていたのでご紹介します。
隂山:齋藤先生は呼吸法の研究者としても有名でいらっしゃいますが、学習と呼吸、姿勢の関係については僕もよく思うことがあります。呼吸と姿勢とはもともと一体ですし、この二つを整えてこそ音読は全身運動になるんです。十分間続けるだけでも、結構な運動量です。
齋藤:そうですよね。
隂山:もう一つは、学習の効率を高めようと思えば、漢字を書く場合の正しい鉛筆の持ち方、その時の体の姿勢、呼吸もすべて絡んできますね。そう考えながら最も効果的な学習指導法を突き詰めていくと、最後には江戸時代の寺子屋教育に逆戻りするんです。
齋藤:森信三先生は、座っている子どもたちの腰に後ろから手を当てて腰骨が立っているかどうか指導されたといいます。腰骨が立っているか、靴が揃えられているか。親は子たちにそういうシンプルな指導をするだけでいいと教えられたと聞いて、私も納得しましたね。
隂山:いや、まさにそうなんですよ。寺子屋のような教育は道徳を押し付けるように思えて僕も最初は抵抗があったんですが、逆でしたね。反発すればするほど、それが正しいという結論にたどり着いていく。
齋藤:腰骨が立つことは、人としての基本なんですね。背骨が真っ直ぐに立つと意識がはっきりする。寝たきりの方も、体を起こして食べ物を経口摂取することで意識が目覚めるといわれています。ですから、小学校に入ったら腰骨を立てる、速いスピードで本を読む、そういう動きが全国的に広がるだけでも教育は変わっていくと思います。
隂山:そう考えると、先人たちの大切な教えにもう一度、しっかり光を当てるのはとても大切なことのように思えます。
齋藤:私たちは誰もが先祖が築いた文化遺産の中で生きています。日本語やそこから生まれた文学作品は大切な文化遺産であり、日本人にとっての足下なんですね。日本語なくして日本人は存在しない。そう言い切ってもいいと思います。この度、新元号が「令和」に決まったことで、その出典である「万葉集」に注目が集まっているわけですが「万葉集」という古典もまた、まさに日本人の一番足下というべき書物であり、令和という時代になれば、これからどのような厳しい状況が起きようとも日本は大丈夫ではないかと思います。精神文化は言葉とともにある。そのことをここで改めて強調しておきたいですね。
隂山:グローバル社会になって日本人の目は海外ばかり向いています。確かにそれも大切なのでしょうが、僕は日本の歴史や文化にこそ、これからの未来を考えるヒントがたくさんあるような気がします。
齋藤:特に国語という文化は、日本人の精神の涵養という面でも重要な役割を果たしてきました。文章に込められた人格の深み、教養の深さ、広さといったものを伝え続けていくのも私自身の役割と思っています。
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