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笑顔に当てる拳はない

更新日:2020.7.7|1(2週間) / 159(累計)

笑顔に当てる拳はない
 人間は感情の動物であると言われる。感情の諸相を一言で喜怒哀楽と呼ぶ。喜びや楽しみは快い感情であり、怒りや哀しみは不快な感情である。

 人はまた社会的な存在である。快い気分を共有することによって喜びや楽しさは大きく増幅される。また、不快な気分になっていても、それを慰められたり労られたりすることによって、辛い気持ちや暗い気分が薄らいでいく。

 反対に喜びや楽しみを邪魔されたり壊されたりすれば忽ち快は不快に変わってしまう。人の失敗や悲しみを笑ったりからかったりしてはいけない。また、頑張った友達は心から讃えるような豊かな心を育てたい。

 笑顔は表情の中で最も美しい。明るい笑顔は、それを見る人の心までをも明るく楽しいものにする。常に笑顔で人に接するような人は、安定した優しい心の持ち主である。心が満たされている時、また人を愛する心になっている時、人の表情は和らぎ、優しくなり、笑顔になる。

 いつも温かい笑顔を湛えている人は、他の人からも愛され、いっそう幸せになっていく。笑顔には、自分も相手も幸せな気持ちにする力がある。仏像が穏やかな微笑みを湛え、拝する人の心を慰めてくれるのはこの為である。仏像の微笑みの深さに学ぶ心を持ちたい。 
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