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読書の意義と効用

更新日:2020.7.20|1(2週間) / 120(累計)

読書の意義と効用
 活字は、白い紙に印刷された小さな染みである。それぞれの染みには僅かずつ違いがあり、それらを連続的に識別しつつ、そこから一定の意味を汲み取っていくのが「読む」ということである。故に、「文章を読む」という行為は、人間にしかできない極めて高度な認識作用なのである。

 文字を読むことによって人は様々な知識を得たり、思索を深めたりする。文字そのものには、色彩も、音も、動きもなく、極めて無表情、不愛想である。テレビや映画などの分かり易さや面白さに比べれば、ずっと分かりにくく、そっけない。

 だから、今の子供や若者の間に「活字離れ」が進行するのであり、それは大人の世界にも当てはまるのである。出版業界は今新たな苦境を迎えている。

 最新の脳科学の研究は、書物の音読が脳の働きを大いに活性化する事実を明らかにした。現今の活字離れは、人間固有の価値や尊厳を弱め、人間が禽獣に近づく兆候とも考えられ、憂慮に耐えない。

 二十一世紀にも及ぶ人類の絶え間なき文化の構築、進展は、一言で言えば思索と実践の賜である。無表情で不愛想な文字の連鎖を辿りつつ、人間らしい高度な思考、思索を深め、高める読書の意義と効用を再確認したい。
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