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古典に学ぶ

更新日:2020.5.25|1(2週間) / 116(累計)

古典に学ぶ
 『実語教』というのは、平安後期に起源を持つ子供向けの道徳教科書である。江戸時代には寺子屋の素読用教材として用いられていた。原文は五文字で一句、全体は九十六句で構成され、学問の大切さを諄々と説いている。智は、財を超える人間の価値であり、智を得る為には学問をすることが何よりも大切だと諭す。

 『実語教』は、広く江戸時代、明治期にまで子供を導く格好の道徳教科書としての役割を果たしたものである。その内容は、現代の世の中にも十分に適用する根本的、本質的な教訓が多く、堂々たる古典として今後も活用可能は貴重な一書である。

 山の価値、本質は高さではなく、茂る樹木にあり、人の価値、本質は体の大きさではなく、その智力、知性にある。
 財産は一生の大切な宝ではあるが、死ねば無用になる。だが、人間の智力、知性は後世にまでその価値を残して伝わる。
 
宝石は原石のままでは光はなく、石や瓦と同じだが、磨けば光を生み、宝石に変わる。人も同じで、学ばなければ智力、知性は育たない。学ばなければ愚人のままだ。
 このように、平易は言葉で、重厚な人生の在り方を説くのが『実語教』である。寺子屋や私塾で長く広く使われた教材だが、問題の多い現代にこそ改めて読みたい古典である。
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